日曜の午後5時ぐらい、奈々子に連れられ、林は奈々子の自宅に向かった。
「 お邪魔します」林は玄関で挨拶してリビングに入った。
古びた一戸建てだった。玄関に入ると、広めのリビングが現われた。古い皮ソファセットが壁に沿って置かれ、その真正面に旧式大型テレビがテレビ台の上に立っていた。リビングの隣に和室があって、その真ん中に大きな高級和風テーブルセットが置いてあった。全体が古く感じ、壁紙があちこちシミと汚れが目立っていた。しかし、部屋全体は物が多い割にきちんと整理整頓されていた。時々、庭にあった犬小屋から犬の鳴き声が伝わってくる。台所の匂いか、飼い犬の匂いか、建物の老朽化の匂いか、それともすべてが混ざり合った匂いか、いままで嗅いだこともないような匂いが部屋中に充満し、林の鼻と頭を刺激していた。テーブルの上にすでに置ききれないほどの料理が置いてあった。
|